サブ機のつもりがお気に入り。Canon EOS 5DsR ファーストレビュー

レビュー

 

Canon EOS 史上最高の解像力を誇る“EOS 5DsR”

Canonへの乗り換えをした際には最新モデルのEOS 5D Mark IVを迷わず選びました。

何回か撮影をこなしてファインダーにチリが入ってきたので大分の修理センターに分解清掃に預けたところ、カメラが手元にないのがなんとも落ち着かないこと。

そんな理由で勢い余って購入してしまったのが、こちらのEOS 5DsR。

前に長期使用して非常に満足していたNikon D810に似た、高解像仕様のモデル。発売から少し時間は経過しておりますが、どうせ二台使い分けるならEOS 5D Mark IVと比べて尖った部分があったほうがいいなというのが理由です。

発売当時はEOS 5D Mark IIIの全盛期でしたので、その派生モデルとして扱われていたEOS 5Ds(ローパスあり)、5DsR(ローパスキャンセル)の2モデルですが、こうして手元にEOS 5D Mark IVと二台置いてみると新しい魅力を発見することができました。

 

■軍幹部のソリッドなデザインと外装仕上げの高級感


・意外と新規金型となっている外装のデザイン

EOS 5Ds/5DsRはパッと見はEOS 5D Mark IIIと同じようなデザインとなっておりますが、わかる人にはわかるといった感じの意匠変更がされております。
まず、軍幹部の形状ですがなだらかに曲線のラインでメーカーロゴの入った正面につながっていくEOS 5D Mark IIIに対して、5Ds/5DsRに関してはメーカーロゴの部分のエッジが強調されております。

個人的にEOS 5D Mark IIIの軍幹部のいかつさ(ゴリラ感? )があまり好きではなかったので、とても好印象です。

トッププレートのデザインは細かく見れば全部が新規金型となっているため、グリップからレリーズ周りの形状など細かい箇所ですが意外と変更が加えられています。

また、グリップと反対側にも突起が設けられていたりなど、細かい点ですが手ブレを軽減するためかホールド感を高めるための工夫が感じられます。

メーカーとしてもそういった点はあまり強調してこなかったためがEOS 5D Mark IIIの高画素派生モデルといったイメージが強くなり過ぎ、割高感がさらに強められてしまったことも市場的に大きなヒットとはならなかった所以に感じています。

EOS 5Ds/5DsRについては選ぶ人が選ぶ高解像特化モデルということで、従来のEOSシリーズとは異なった塗装がなされています。

WEB媒体の掲載画像ではわかりづらいので是非現物を見て頂きたいのですが、大雑把に言うとややゴールドがかったような煌めきを帯びた風合いとなっています。インタビュー記事によるとメーカー的にはBlack Titanium処理と呼んでいるようです。

このカメラの外観写真が暖色系に転んでいるように見えることがあるのは、この塗装の色味によるものだと思われます。

好みはあるかと思いますが、高級感も高いうえに耐久性も高そうな塗装と言えそうです。

・基本的なボタンレイアウトはEOS 5D Mark IIIを踏襲

背面のボタンレイアウトはEOS 5D Mark IIIを踏襲しておりますが、再生時に新規で2分割表示ができる機能が割り振られていたりなど細かい改修が見られます。

 

また、モードダイヤルにシルバーのラインがあしらわれているEOS 5D Mark III/IVとは異なり、ブラック仕上げの落ち着いた外観に抑えてあるのも高ポイントです。

もっと細かい点を挙げるとモードの種類がEOS 5D Mark III(プリント)、EOS 5Ds / 5DsR(浮き出し)、EOS 5D Mark IV(彫り込み)と全て異なっているのも興味深いです。

 

・35mmフルサイズ約5060万画素CMOSセンサー

従来2230万画素までしか存在しなかったCanon EOSシリーズでしたが、数段飛ばしで5060万画素という驚きの高画素化を実現しております。その分高感度が苦手な不安もありましたが、最近の高画素モデルは高感度でもあまり粗が出ません。厳密には1画素のピッチが細かいため、ノイズが乗っても非常に細かい粒子となって現れるため、鑑賞サイズで見る限りではあまり問題を感じないという感じです。この辺りはNikon D810とも同じような特性です。常用感度はISO 100〜6400となっておりますが、私的には意外とスペック通りに使える印象。Nikon D810ではISO 6400以上では画面の下部にピンク色のノイズパターンが浮いてくるのが気になり使えませんでしたが、そういった目立ったマイナスポイントもなし。
ローパスフィルター効果をキャンセルした、高解像バージョン
EOS 5Ds(ローパスあり)、EOS 5DsR(ローパスキャンセル)の選択についてですが私は最近ローパスレス仕様のモデルばかり使用してきたため解像力の高さを重視してしまい、迷わずEOS 5DsRを選択しました。

 

あらゆる被写体への対応を考えるとき、ローパスフィルターは、いわば重要な“保安部品”といえます。その効果をキャンセルし、ローパスフィルターレスと同様の状態にしたのがEOS 5DsRです。画質を評価するさまざまな要素に対して、解像力を重視する撮影者や被写体に特化。有効約5060万画素の解像性能を最大限に引き出し、EOS 5Dsを超えた高精細な描写、ヌケのよい中間調、立体感や空気感のリアルな表現を可能にします。

引用:Canon メーカーページより

 

■実際の撮影画像はこちら


やはり一見してわかるパリッと感。笑 ローパスレスモデルは拡大しても良し、引いてもとても臨場感があります。

 

高画素モデルながら暗部も潰れてしまうことなく、RAWデータから丁寧に現像してあげればハイライトも飛ばさずに階調が保持できます。

 

過去に使用したEOS 5D Mark III、EOS-1D Xと比較しても“光を拾う”感じがします。

 

いつもの通勤途中の風景もなんとなく画にしてしまう高精細画質です。

・高感度も苦手かと思いきや意外にいける

 

こちらは部分拡大しておりますが、そこそこの高感度ながら目元のシャープネスもしっかり保持しており結構好感触です。

・ペットの被毛の柔らかさも表現

・ローパスキャンセルモデルゆえの等倍でも破綻なき描写力

・ライティングをすることで、絵画のようなラグジュアリーな仕上がりに

 

意外とEOS 5D Mark IVに近いカスタマイズ性


・豊富な情報を透過表示する、インテリジェントビューファインダーII
ファインダー上部に表示される電子水準器はインテリジェントビューファインダーIIの豊富な情報表示機能の成せる技。さらにファインダー下部に撮影設定もアイコン表示することができ現状を設定をしっかり把握しつつ被写体に向かうことが可能です。

せっかくの光学ファインダー故に視界を妨げるようなものが良いというタイプの方も多いとは思われますが、ON/OFFで使い分けできますのでメリットに他ありません。

実際に私も一時期FUJIFILMのミラーレス一眼を使用した際に、ファインダー内に多様な情報表示が可能なこちは素晴らしいと感じましたので、光学ファインダーの利点(素通しの視認性の高さ)、EVFの利点(情報表示)がいい感じに融合したようなインテリジェントビューファインダーIIはかなり魅力を感じます。

撮影中でも、各種機能の設定状態がわかること。接眼したまま、意図した通りに設定を切り換えられること。それを可能にする、インテリジェントビューファインダーIIを搭載しました。透過型液晶により、被写体から眼を離すことなくAFフレーム選択や電子水準器による水平出しなどが行えます。さらに、ファインダー視野内へのグリッド表示、クロップ撮影やアスペクト設定時の撮影範囲表示(線またはマスクを選択可能)も可能。暗所でAFフレームの視認性を高める、AIサーボAF照明にも対応しています。表示項目はカスタマイズが可能です。

引用:Canon メーカーページより

・百人百様の操作画面をつくれる、クイック設定カスタマイズ
クイック設定画面のカスタマイズも実はEOS 5Ds/5DsRから搭載された機能。選べり設定項目のバリエーションはEOS 5D Mark IVに劣ってしまいますが、共通化することで使い分けても違和感を感じないようにしてあります。

 

撮影時のクイック設定画面をカスタマイズできる、EOS初の機能です。21項目から、必要とする機能とサイズを撮影者自身が選択し、画面内の任意の場所に配置できます。これにより、多機能なEOS 5Ds Rを、撮影スタイルに合った最も使いやすいカメラに仕立てることが可能。カスタマイズした画面は、デフォルトのクイック設定画面と別に保持されるため※、特定の撮影テーマ用と通常撮影用で画面を使い分けることも可能です。

引用:Canon メーカーページより

・EOS-1D Xと同等の高いAF性能
EOS 5D Mark IIIではAFモジュールの分光用メガネレンズがプラになっていたことから、実用上は問題無いまでもコストダウンが図られておりました。EOS 5Ds/5DsRでは高い解像力引き出すためにシビアなピント精度が求めらることからフラッグシップモデルのEOS-1D Xと同等の設計となっております。

これも次世代のEOS-1D X Mark II、EOS 5D Mark IVと比較すれば縦方向の測距点のカバー範囲や低照度時のAF感度などに差がありますが、報道分野に置ける一世代前のフラッグシップモデルと同等性能ですから実用上は十分に思います。

ミラーショックを低レベル化するのメカ機構、ミラー振動制御システム
やはり高画素・高解像力を重視したスペシャルモデルだけあって、ミラーショックに対しては一層の配慮がなされています。バタッとしたシャッター音が続いているEOS 5Dシリーズですが、EOS 5Ds/5DsRは一線を画したマイルドなシャッター音に加えミラーショック、シャッターショックも抑えられていることがわかります。

 

これまでと違う次元のカメラブレ対策。一眼レフカメラとしてかつてない解像性能を追求するEOS 5Ds Rの、重要な開発テーマでした。カメラブレの中でも、最も大きな要因となっているのがミラーショックです。いち早くモーターによるミラーアップと衝突エネルギー減衰機構を実用化したキヤノンは、その発想をさらに展開。ミラーのアップ/ダウンともモーターとカムギアによって駆動と速度制御を行う、独自のミラー振動制御システムを開発。微小振動と画面ブレの発生を抜本的に抑えることで、有効約5060万画素の解像性能を存分に引き出します。

引用:Canon メーカーページより

・ミラーアップ撮影を効率よく行える新機能、レリーズタイミング設定

こちらの機能はNikonのハイエンドデジタル一眼レフカメラには結構昔から搭載されておりました“露出ディレーモード”に相当するもの。レリーズを全押ししてミラーアップしてからシャッターを切るまでの時間を設定できまして、機構ブレをさらに低減することが可能です。実はこの機能、最新モデルのEOS 5D Mark IVには搭載されていないですね…。EOSとしては高画素・高解像特化モデルのみの特権のようです。

 

■EOS 5Ds/5DsRは未だに魅力的なカメラか


個人的にEOSシリーズの中では今尚、最高の低感度での高精細画質に加え、意外と使える高感度性能も相まって高画素系のバランスモデルと言っても過言ではありません。

なんとなく旬を外れたイメージがある原因はEOS 5D Mark IIIの派生モデルという扱われ方のせいですね…。実際には全然EOS 5D Mark IVと併用しても見劣りしません。

むしろ撮影した画像を見たときの高揚感や、ユーザー数の少なさからくる所有満足度も含めてEOS 5D Mark IVよりも気に入っているかもしれません。

とはいえ最新のEOSシリーズが“デュアルピクセルCMOS AF”を搭載するのが当たり前になってきたため、ライブビューの使い勝手と、動画AFサーボを利用した気軽な動画収録には見劣りするのも否めません。
私が今更こちらのモデルに手を伸ばしたのは、当初はEOS 5D Mark IVとの使い分けを考慮して異なる特性でありながら操作感を含めて同じような使い勝手が担保される製品という意味で、最適であったという点です。
また、Canonに以降前に使っていたNikon D810、D500体制と比較した際に、メインのD810の位置付けを完全にリプレイスできるような機能、特性のカメラであった点も大きいです。サブのD500についてはフルサイズでないことによる画質面でのデメリットもありつつも、用途によってはAPS-Cの恩恵も受けられるという完成度の高いモデルでした。

ただ、気に入れば気にいるほどAPS-C専用レンズも欲しくなるという、レンズシステムの肥大化に繋がってしまい、結果としてフルサイズ二台運用のほうがレンズをいたずらに増やす必要もなくて良いという結論に至りました。

とりあえずはCanonでも満足のいくズームレンズシステムは最低限揃えたので、今後は頑張って単焦点レンズを買い足していければいいなー…と思います。

話は戻りますがレンズの描写の特徴をきちんと把握するにも、EOS 5DsRは良いプラットフォームと言えますね。

皆さまもぜひ、改めてEOS 5Ds / 5DsRを選択肢に加えて見てはいかがでしょうか?

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