Canonの一眼レフシステムに出戻りました。
■Canon EOS 5D Mark IV外観プレビュー
ボタンレイアウトはEOS 5Ds / 5DsRを踏襲しつつ、EOS 7D Mark IIで採用された“測距エリア選択ボタン”が増設されました。
軍幹部にGPSユニットなど通信機能が埋め込まれているため、トップカバーが分割され軍幹部はプラスチック製に。
安っぽくなっている感じはしないですが、個人的に継ぎ目が増えるのはあまり好きではないですね。長期使用していくと金属外装部分とテカリ具合などに差が出そうなのも少し気になります。
■EOS 5D Mark IVの主な特徴について
・35mmフルサイズ 約3040万画素CMOSセンサー
動画にも強いEOS 5Dシリーズのメインストリームモデルであるため、ローパスフィルターあり。
D810、D500と使用していたため久しぶりのローパスフィルター搭載モデルですが、ピクチャースタイルにて適切なシャープネス設定を行うことで、特に解像力に不満は感じないでしょう。
完全に新型のセンサーであり、微細プロセスからフォトダイオード、カラーフィルター共に新規設定となっており、まさに新世代の仕様といえます。
・7コマ/秒の高速連写
もはやデジタル一眼レフカメラとしては速いと言っていいのか考えものですが、Nikon D5やCanon EOS-1D X Mark II、SONY α99IIなど各社のフラッグシップモデルを除けば高速連写できるフルサイズ一眼レフカメラって少ないんですよね。
できれば8コマ/秒くらいあるとだいぶテンポが速くなると思いますが、順当に進化しただけ良しです。
・映像エンジンDIGIC 6+
高画質・高感度、カメラ性能を飛躍的に向上させたDIGIC 6+を搭載。
高速処理性能を活かして、従来はPC用の現像ソフトDPP上でのみ設定可能であった“デジタルレンズオプティマイザ”をカメラ内で初めて設定可能に。
(連続撮影性能は遅くなります)
その他4KムービーやHDでの120P収録なども実現。フラッグシップモデルのEOS-1 D X Mark IIではフルHDで120P収録が可能ですので、ここは正直今一歩ですね。
とはいえ、定番となりつつある4K収録に対応してくれたことはなんだかんだ嬉しい限りで、ライブビューAFに強いこのモデルだからこその使い出がありそうです。
・シーン解析システムの精度向上/フリッカー検知
総合的な高画質化を実現するEOSシーン解析システムの精度がさらに向上。近赤外光を含む波長領域の検知、フリッカー検知を可能にする測光センサーを搭載することで、AF、AE、オートホワイトバランス、ピクチャースタイルオート、オートライティングオプティマイザなどの制御精度が向上しました。また、顔検知と色追尾機能により、自動選択AF時のAF精度も向上。動く被写体にピントを合わせる精度もアップしています。
撮影時にもフリッカーレス撮影ができるため、蛍光灯下での撮影においても蛍光灯の明滅による色かぶり防げ安定して撮影結果が得られます。
・常用ISO感度100~32000を達成。拡張ISOは最高102400
高感度性能もさらに向上しており、ノイズレスな撮影が可能…なはず。
・カメラ単独で、デジタルレンズオプティマイザに対応
画像本来の解像力を、厳密な補正により復元するデジタルレンズオプティマイザ※。レンズ光学補正で対応できない各種収差(コマ収差、サジタルハロ、非点収差、球面収差など)や、ローパスフィルターが画像に与える影響などを、詳細な光学設計値に基づいて厳密に補正する、キヤノン独自の技術です。ソフトウエア「Digital Photo Professional」で、高い効果を実証しています。EOS 5D Mark IVでは、この技術をカメラに実装するため専用ICを搭載、撮影時にカメラ内で実行可能になりました。JPEG撮影時も可能。カメラ単独で完結できるため、パソコンを媒介せずに高画質な作品づくりが行えます。
引用:メーカHPより
周辺光量落ちなど味として活かせる収差もありますが、撮影結果に悪影響しか及ぼさないであろう諸収差も補正が効くのは良いですね。
連続撮影性能が著しく低下するため私は常時OFFにしておりますが、回折補正は被写界深度の深さを稼ぎづらいフルサイズ機にはうってつけの補正ですね。被写体に応じて使用してみたいところです。
・61点高密度レティクルAF II
EOS-1D X Mark IIにも搭載されている61点高密度レティクルAF IIを採用。測距点数はEOS 5D Mark IIIと同じでも、測距性能は大幅に向上したとの事。
測距エリアも特に上下に拡大し、-3EVまで測距輝度範囲の拡大しております。実際に暗所でもストレスなくAFにて合焦します。
テレコン使用時にF8測距が可能なAFエリアも全点にまで拡大したことも、用途によっては大きな進化といえます。
・デュアルピクセル CMOS AF
個人的には喉から手が出るほど欲しかったこの機能。ライブビュー静止画撮影でも動画撮影でも、背面液晶にタッチしたところに瞬時にAFが合います。
精度も速度も非常に優秀で、ライブビューは便利だけどAF性能がおぼつかなかったNikon機での泣き所を完全に払拭してくれました。
・タッチパネル対応の高精細約162万ドット、ワイド3.2型・クリアビュー液晶II
背面液晶は非常に視認性が良く、タッチパネル操作も可能なため前述のデュアルピクセルCMOS AFと合わせてとても便利です。
これまで購入したEOS機はだいたいドット抜けに泣いてましたが、購入した個体は全く気になるものもなく安心。ドット数が増えたおかげで目立たないのもあるのかも。
タッチ操作については、再生時にダブルクリック操作で部分拡大ができたNikon D500の操作性の良さに慣れていたため、少しだけ不満も。でもそもそもタッチ操作ができるだけで及第点ですかね。
・ファインダー視野上に多彩な情報表示。インテリジェントビューファインダーII
ピントが掴みづらくなるから透過型液晶のファインダーはなぁ…なんてそれっぽい意見もありますが、最近の光学ファインダーはここまで便利になったんですね。
Nikon機でも視野外に情報表示はしっかりされますが、なんと最近のEOSは視野内にもそれなりの重要な撮影設定の情報が表示されます。(もちろん不要ならOFFに)
これがなかなか便利で、EVFに対抗するには良い機能だと思いました。
あとは神経質な私はファインダーにチリが混入した際にめちゃくちゃ気にしてしますので、いい具合に情報表示が気を逸らしてくれてありがたいです。
・GPS機能/Wi-Fi機能
もはや最近のカメラならWi-Fi接続機能はマストで搭載されてますが、ハイエンドモデルにGPS機能が搭載されたのは珍しいですね。
やはりハイエンドモデルは合金性で電磁シールドがしっかりされており、衛星からの電波が得られにくいというのがあるのでしょうが、それを解決するためにペンタ部の外装カバーはプラスチックになりました。
賛否両論あるようですが、個人的には金属外装の方が傷や塗装落ちが気になるので全然ok。電池の消耗は激しくなりますが、GPSも常時ONにしております。
Wi-Fi接続もアプリの安定性、通信速度共に満足で、Nikon D500の“SnapBridge”は省電力のBluetooth Low Energy仕様により電源OFF時の画像転送にも対応したりと方向性が違うのもありますが、急いでスマホに画像を飛ばしたい時には不便でした。
・デュアルスロット
EOS 5D Mark IIIから引き続きではあるものの、CFとSDのデュアルスロット仕様。ただCF自体がもうコスパの悪い規格になりつつあり、さらにSDスロットも最近の高速規格UHS-IIには対応していないというローコスト仕様。
(EOS 5D Mark IIIはUHS-Iにすら対応しておらず、完全にEye-Fiカード専用スロットになっていたのでそれよりはマシですが)
■動画機能について
・デジタルシネマ規格であるDCI 4K(4096×2160)での30P収録に対応
逆に一般的なアスペクトのUHD(3,840×2160)に対応できないのが微妙。ですが4K解像度で安定したAF精度で追従可能なので、動画機としては魅力的です。
・動画サーボAFでピント合わせが快適に。追従特性のカスタマイズも可能
動画撮影時のAF追従特性の他、AF速度もかなりの幅から設定可能。(比較的新しいレンズに対応)
そのため演出のため意図的にピント位置を変更するような用途にもなかなか扱いやすいです。
以前は一眼動画でAFなんて使う気にもならず、フォローフォーカスなんかも買ったりしてみたものです。
車のない身としては、やはりカメラ単体で不足なく撮影できるよう機能が向上していくのは素晴らしい事だと思いました。
・Canon Log対応へ、有償アップグレード可能
税別10,000円でC-Log収録機能を追加可能となりました。以前は一眼動画にハマりシネマカメラなどにも手を出していたためなんとなく流れでアップグレードしてみましたが、Log収録した素材を活かすようなカラーグレーディングがわからない…笑
勉強用にBlackmagic Designのポケットシネマカメラを使っていた頃のDaVinvi Resolveとはインターフェースも様変わりしており(とういうか日本語対応してた)、なんとなく記憶に残っていると思ったものの全然ダメでした。
昔も結局カラーグレーディングを自分でした素材よりも、普通にピクチャースタイルでまとめたビデオガンマの素材の方が見栄えがするなー、なんてとことに落ち着いてしまったのを思い出しました。
せっかくアップグレードしたので、余裕ができたらこれもおさらいしないと…。
使いこなせる方にはありがたい対応ですね。
■実写画像
絵作りのイメージとしてはとにかく写実的なNikon機とは印象が異なり、なんとなくFUJIFILMのXシリーズのような作り込まれた感があり、目で見たイメージよりだいぶよく見えます。
3040万画素のローパス搭載モデルという事で、D810と比較しても解像力には劣るなーというのが初期の雑感。
実際には結構解像力も高いんですよね。感覚的にD810に見劣りするように感じていたのは、気持ち的な問題なのかも。
こちらはISO3200のカット。高感度でもハイライトに色が乗り、非常に扱いやすいです。ノイズ感としては拡大して確認すれば完全にクリーンな画質と言えるほど余裕は感じませんが、あくまで鑑賞レベルにおいては全く問題ないと思われます。
ダイナミックレンジで劣ると言われ続けたCanonのセンサーですが、新世代のこのカメラはRAW現像で広げてあげると階調がしっかり出てきます。
なんというか目に痛くない、安心感のある写真が撮れるように思います。
酒呑み。海辺でビールは爽快感ありますね。
LightroomでのEOS機の現像には誇張と色かぶりのない“Camera Faithful”を初期値にしておりますが、この二枚だけは“Camera Portrait”にて現像。
これもFUJIFILM XシリーズのPROVIAモードに近いような肌の発色が得られ、好印象です。屋内では色のかぶりが気になるため“Camera Faithful”が良さげ。
以上、EOS 5D Mark IVファーストレビューでした
まだ使用頻度が高くなく特徴が掴みきれていないので、さらっとスペック情報を交えてご紹介させて頂きました。
さすが安定感のあるEOS 5Dシリーズだけあって、これからフルサイズ一眼レフカメラを選ぶのであれば特におすすめです。
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