Canon EFマウントはなんだかんだ優秀で潰しの効くズームレンズが揃っているため、基本的にレンズはズーム中心でシステムを組んでおりました。単焦点については必要な焦点距離のものを普及タイプから選んでいた感じです。

例えば「EF50mm F1.4 USM」や、「EF85mm F1.8 USM」なんかはそれぞれ3本、2本とタイミングによって買ったり売ったりしております。(不要で手放すよりは、ちょっとした生活費の捻出のために一時手放すような感じです…)

いかに古い設計のレンズとはいえ、単焦点レンズであれば高品質なLレンズでなくとも描写は優秀ですのでこの辺りのもので十分満足しておりました。ですが、ものは試しで一本だけ選ぶのなら“このレンズ”というのが心に決まっておりました。

それがこのレンズ。

 

EF135mm F2L USM


 

・レンズの特徴

135mmという焦点距離は手持ちの「EF70-200mm F2.8L IS II USM」でもカバーされている画角となりますが、その開放絞りはF2。さらに、1490gと重量級なこの2.8ズームと比較すると750gと半分の重量です。

さらに使い勝手でいえば最短撮影距離が0.9mと、1mを切っていることも利点です。「EF70-200mm F2.8L IS II USM」の場合は最短撮影距離はズーム全域で1.2mと望遠ズームレンズとしては短縮してきておりますが、30cmの差は決して小さくありません。

最大撮影倍率についても「EF70-200mm F2.8L IS II USM」では200mmの画角にて0.21倍、「EF135mm F2L USM」では135mmの画角で0.19倍です。

つまり数値上は劣って見えますが、実際に135mmの画角同士で比較すれば「EF135mm F2L USM」の方がクローズアップが可能になります。

常に35mm判フルサイズ一眼レフシステムを持ち歩く私としては、あまり多様しない望遠レンズをもう少し軽量なものに置き換えたい気持ちもありました。とはいえ、いざという時には70-200mmは心強くもあり手放すには惜しい。といった訳で既存のレンズに買い足す形となりました。

 

・135mmという画角

135mmという画角。ポートレート撮影に使われる王道的な焦点距離が“85mm”と言われておりますが、それに加えて中望遠域では“105mm派”、“135mm派”がいます。

なぜ中望遠域の画角がポートレートに適しているかというと、50mm以下のレンズでバストショットを撮ろうとするとどうしても被写体に寄る必要があり、多少なりともパースペクティブが効いてしまい被写体の形が崩れてしまいます。見下ろすようなアングルなどでは顔が大きく見えたりなど、広角に行くほど顕著になるものです。

その点、中望遠域のレンズでは被写体の形が妙に歪むことがないのです。

また、35mm判換算で85mm以降の焦点距離から“圧縮効果”が目立つようになり、ピントを合わせた被写体からの奥行きの距離感が詰まって見えるようになります。望遠レンズの特徴としてこの“圧縮効果”と“引き寄せ効果”がありますが、つまるとことは「本来の距離感」を無視して奥行き方向にあるものが近くに引き寄せられて描写されるということです。また、背景となる景色もより狭い範囲が切り取れます。ごちゃごちゃとした背景の整理もしやすく、人物であれば人物だけが浮き立つような特徴的な作画が可能です。

もちろんより望遠のレンズでも同様のことがいえますが、被写体とコミュニケーションを取りながら撮影ができる適度な距離感を残せるのも135mm程度まででしょう。

 

実写画像


まだ購入して日が浅いためたくさん撮りためておりませんが、一部をご紹介してみます。

 

あえて煩い背景のものを選んで見ましたが、前後がきちんとボケることで被写体はきちんと強調されています。

 

開放付近の絞り値では木漏れ日などが大きな玉ボケになってくれるので、視覚的にインパクトがありますね。

 

シャープネスは高いですが、繊細な描写ですので女性を撮るのにとても適しています。

 

最大撮影倍率0.19倍と適度にクローズアップが可能なため、テレマクロ的な使い方もできます。

 

飲食店の店内で使ってみましたが、さすがに画角が狭すぎて向きません。

 

 

あまり近寄る必要がないため、野良猫の撮影にも向いています。こちらは江ノ島の猫さん。こっそり付いていき、振り向き様をしっかり押さえました。奥と手前の植え込みはそれなりに距離がありますが、圧縮効果でこのように写し込まれます。

 

 

背景のボケ方がわかりやすい一枚。ボケの輪郭が気にならない溶け入るようなボケ味です。

 

またもや猫さんですね。遠くから狙えることでリラックスした表情を収めることができました。

 

1996年発売ですので設計自体は新しくありません。そのため開放では少し収差を感じますが、適度に絞り込むことで抜群の切れ味を発揮します。

 

遠くに富士山が若干顔を出していました。画としては微妙な感じですが、引き寄せ効果がよくわかると思います。

 

 

こちらも圧縮効果の効いた写真ですね。陸地から海、向こう岸が同じ画面内に収まっております。

 

 

こういったぼかした空のなんとも言えない空気感に、いいレンズなんだろうなと感じてしまいます。ボケってずるいですね。

 

CanonのUSM(ウルトラソニックモーター)を採用した超音波モーター駆動のため、AF速度も非常に早いです。

 

激しく動く被写体もきっちりと押さえてくれました。

 

さすがに被写界深度が浅すぎて追いきれない時もあるので、シャッタスピードには配慮が必要です。

 

ポートレートで使い込んでみたいレンズですが、まだほとんど撮影機会がありません。とは言え色んな被写体に使えるイメージを少しはお伝えできていれば幸いです。今後もたくさんの撮影を行ってみたいと思わせてくれる、楽しいレンズでとてもおすすめです。