4月以降いろんな心の葛藤がありまして(主に物欲面で)撮影機材をNikonからCanonへ再び総入れ替えを致しました。

巣立って行ったNikon機材

迎え入れたCanon機材(レンズが少ない…)

Nikon D810、D500それぞれ素晴らしいカメラで、何が不満というわけでもないのですが、これらのカメラに加えてF2.8ズームを3種、心の向くままに揃えた単焦点レンズ群と何があっても大概は最良のパフォーマンスを発揮できそうな機材が揃ってしまった事によって元来のとてつもない“物欲”が行き場を無くしてしまい、オーバーフローを起こしてしまったとかしまわないとか…。

生粋のデジタル一眼“レフ”派の自分ですが、実はカメラ歴はNikon →Canon → Nikon → Canon(今ここ)と時代に合わせて行き来を繰り返しており、愛情の深いメーカーとしてはどちらかというと“断然Nikon”派です。

今回あえて万全であったNikonシステムからCanonへ舞い戻った理由の一つは、これからのカメラ業界のトレンドについて考えた結果です。

長ったらしい前置き


一眼レフ派の皆さんに置かれても最近気になってしょうがないのはα7IIシリーズをはじめとしたSONYミラーレス一眼勢ではないでしょうか。

出典:SONY α Universe

かく言う私も4240万画素の裏面照射CMOSと5軸対応手振れ補正、視認性のますます向上したEVFとミラーレスの格を大きく引き上げたα7RIIを見た際には、「これは本当にミラーレス時代になるな、一眼レフカメラ(つまり光学ファインダー機)は今でいうNikon、Canonの一桁モデルのような“目的特化”の一部ユーザーのみが好んで使用するものに変わって行くのかな…」と感じた次第です。

ただ、この時点ではミラーレス一眼の進化の方向性としては、まずキーデバイスである“撮像素子”を開発しているSONYの製品の開発力による強みが目立った程度でした。

そしてその後OLYMPUSが示した可能性によって、よりミラーレスの未来が明確になってきます。OLYMPUSがハイエンドモデルであるミラーレス一眼“OM-D E-M1 Mark II”をリリース、そして今までのミラーレスの泣き所を改善するどころか“挽回”してきたのが、その“AF性能”と“高速連写性能”です。

これらの進化を実現するためには、以下のハードルがあります。

一眼レフカメラの場合

・AFの測距はミラーボックス内の“ミラー”が下りている間にしか行えない

・つまり“センサーの露光”と、“光学ファインダーでの視認・AF測距情報の取得”は両立できない仕組み

出典:Nikon デジタル一眼レフカメラの構造

これは一眼レフカメラは「光学ファインダーへ像を導く光路が必要」な構造となっているため、ミラーが存在しています。センサーが露光を行う際にはミラーが上がっている必要があり、ミラーが上がっている間は当然ファインダーはブラックアウト、さらにAFの測距もリアルタイムでは停止します。これはマウントから覗いて見えるミラーは一部を透過する“ハーフミラー”となっており、上で図示はされておりませんが透過した光がミラー裏にある“サブミラー”でさらに反射し、ミラーボックス下部に存在する“位相差AFセンサー”に導かれるような構造となっているためです。

ミラーレス一眼の場合

・AFの測距は“コントラストAF方式”、“像面位相差AF方式”に関わらずセンサーの像面で行われるため、“センサーの露光”と“AF測距情報の両立”が可能

・もちろんEVF(電子ビューファインダー)を採用しているため、撮像イメージが確認できる

ただ、過去のカメラはこのEVFへのイメージの表示と実像に“タイムラグ”が存在していたこと。また、ミラーは廃した設計であるものの、多くのカメラは未だ“メカニカルシャッター”をメインで使用しているため、露光中にはブラックアウトが生じていた。(電子シャッターも併用可能だが、センサーの読み出し速度の問題で動くものを撮影した際に、ローリングシャッターと呼ばれる動体歪みが目立っていた)

OLYMPUS OM-D E-M1 Mark IIの場合

出典:OLYMPUS

・センサー・エンジンの読み出しスピードの大幅な向上により、“電子シャッター”使用時の動体歪みを格段に低減、多くのシーンで実用可能となった

・メカニカルシャッターを使用せずとも電子シャッターで撮影ができ、物理的な障害が一切なくなる事により“いかなるタイミングでもAF測距が可能”である

つまり、ミラーが下りているタイミングでしかAFができない一眼レフカメラには進化の上で大きなハードルが存在しており、12〜14コマ秒の高速連写が可能なNikon D5やEOS-1D X Mark IIなどのフラッグシップモデルにおいては、コンマ秒よりもさらに少ない限られた瞬間の測距情報によるAF精度に加え、これに耐えうるミラーの駆動スピード、ファインダー像やカメラ振れを抑えるための制動性が求められている。

これに対し、ミラーレス一眼という“構造上の利点”に加えセンサーやその他デバイスの読み出し、処理スピードが今後も進化の上では一眼レフカメラの“メカ”の進化スピードの数段飛ばしで行われていくであろう事が、この先の“ミラーレス一眼”時代を裏付けるものとなっています。

このOM-D E-M1 Mark IIは電子シャッター利用時においては最速18コマ/秒という連写スピードをなんと“AF/AE追従”で実現するという、まさにカメラ業界におけるブレイクスルーであったわけです。

連写撮影時のファインダーの見えについては、どうしても読み出し上の遅延があるため一眼レフカメラの連写時と同じような感覚で意図的に一瞬の“ブラックアウト”を挟む事によって、一眼レフと遜色のない連写撮影の撮り心地。

ただ、まだこの時は「とはいえ画質重視であればフルサイズ機がシステムとしての汎用性も含めて魅力的」であり、マイクロフォーサーズ規格という中での“対岸の火事”的な大きな出来事でした。

SONY α9の登場

出典:SONY α9製品ページ

ところが開発力に余裕のあるSONYは一眼レフ派にゆっくりと考えさせてはくれませんでした。(笑)

α9は前述のOM-D E-M1 Mark IIと同様のメリットに加えて、さらにOLYMPUSにも実現が不可能であったEVFの表示タイムラグを無くし、高速連写時にもファインダー像のブラックアウトはおろか遅延もさせないという驚きの“ブラックアウトフリー”高速連写での20コマ/秒を達成したのでした。

さらにソニーといえば“フルサイズ”のミラーレス一眼を擁する唯一のメーカー。画質の面でも撮影性能の面でも今一番“伸び代”を大きく備えたメーカーとしての位置づけがより明確になってきました。

ただ、いかに“ブラックアウトフリー”でのAF/AE追従20コマ/秒がスペック上すごいと言えど、そのAF追従性は果たして実用的なのか?といった疑問は付きまといます。ですが、YouTubeで公開されていた某フラッグシップ一眼レフカメラとの不規則な動きをするスポーツ撮影シーンでの実写比較ムービーをみて、黙らされました。

(音声が出ますのでボリュームにはご注意のうえ再生願います)

一眼レフカメラ、特にフルサイズモデルについては専用のAFセンサーの測距エリアが中央寄りに分布しており、ファインダーの周辺部は被写体を“追えない”、つまり構図上の制約がありました。さらにはクロスセンサーや対応している光束についても中央ほど優秀なものが多く、それをより際立たせます。構造上仕方ない部分とは言えますが…。

対するα9では測距エリアはファインダー(=撮像範囲)の約93%を占めており、構図や動体撮影の技法上の制約からも解放してくれています。

さらにα7シリーズのマイナスポイントであった“測距点”をダイレクトに変更する方法がなかった点も、本体サイズの若干の大型化により専用のマルチセレクターを新設。これでαミラーレス一眼を“選ばない理由”のうち明確なものはほぼ払拭されてしまいました。(2017年6月8日のファームウェアアップデートでα7II、α7RII、α7SIIにも測距点のダイレクト選択設定が可能な更新が入りました、GJですね)

あとは高画素好きのユーザー向けのα7RIIにα9の本体性能が合わせられた後継機が登場し、SONYのフルサイズ対応レンズがより一層拡充されれば、またとない選択肢に浮上してきます。

一眼“レフ”カメラ好きとしてのこれからの人生設計について


前置きが長かったですが、では一眼レフ派の自分がこれからどのような機材を選んで写真という趣味と向き合っていくかです。

私が個人的に懸念したのはNikonユーザーであることの憂いです。Nikonはメーカーとしてもカメラ、レンズなども大いに愛して止まないのは変わりません。ただ“Fマウント”と呼ばれるマニュアルフィルム一眼レフ時代からの遺産を継承してきているため、この先の発展性において陰りが見えてしまいます。

・Nikon Fマウントはフランジバックが最長の部類のマウントであり、レンズを他のマウントにアダプターで使用は可能だが、逆はほぼない(ハッセルブラッドや、無限遠が出ない組み合わせ等)

・絞り駆動をメカニカル連動させてきたため、電子マウントアダプターでの他マウントからの連動が難しい

実際には最新のAF-S NIKKOR 24-70mm F2.8 E ED VR やAF-S NIKKOR 70-200mm F.2.8 E FL ED VR等では絞り駆動も電子化がなされた“Eタイプ”の使用となってきましたが、まだまだ“Gタイプ”以前の使用のものがほとんどであり、電子マウントアダプター等での他マウントカメラでの“AF駆動”や“手振れ補正”には現実味がないですね。

だからこそあえてのCanon EFマウント


ここであえて私がチョイスしたのがCanon EFマウントとなります。その鞍替えに置ける身の切り方と言えば莫大なるコストと心痛ではありましたが、カメラのAF化が進んだ際に“完全電子マウント”であるEFマウントという仕様にしたCanonの強みがありました。

すでにMETABONESから発売され5世代目モデルにまで進化した、電子接点付きCanon EFレンズ→SONY Eマントアダプターに加え、SIGMAのマウントコンバーターMC-11を使用することで、 Canonの一眼レフ用レンズはSONYのミラーレス一眼でも活かせます。

互換性に過去は不安もありましたが、最近はアダプターの制御も格段に良くなり、カメラ本体の性能向上も相まって実用性のある選択肢となりました。

つまり遠回りしましたが、今私が選択した機材についてはこうです。

一眼レフ好きとしてCanon EOSをメインに写真を撮り、SONYのミラーレス一眼のさらなる進化、レンズラインナップや市場シェアの拡がりを観察していき、納得のいくSONYミラーレス一眼が登場した際に試しにカメラ本体のみ導入し、EFレンズをコンバーターで試用しようというスタンスです。

こんなどっちつかずを続ける間にNikonの勢いがまた盛り上がってくればそれもまた良し、これからもカメラ業界の動向に人生を翻弄されて行こうという決意を表明したのであった…。(長い)