昨年末から仕事で動画を撮る予定が複数あったので、2カメ対応ができるようにFUJIFILMのX-T4を2台導入してしばらく使っていました。
動画機として使うつもりであったものの、FUJIFILMは魅力的でそれなりにコスパの高いレンズが多いので、ついつい多くのレンズを増やしてしまいました。
システムが肥大化すると、さらにそのシステムを拡充したいという気分になってくるのが人のサガ。
撮影にまつわる所作をユーザーに押し付けるようなコンセプトに、良い意味で思うところがありX-Pro3も年末に入手してみました。
その大きな特徴は背面液晶を隠してある(裏返しにすることでマメに背面液晶を見るという行為をセーブする)ところです。
これについては賛否があるわけですが、このカメラはファインダーを覗いて撮影に集中させようとしているわけで、そういった体験には一眼レフカメラ好きとしても通づるようなところがあり、ぜひ試してみたいと思ったわけです。
ミラーレス一眼のEVFも大きく進歩をしていますが、撮影中のちょっとしたチラつき、例えばAF測距時や撮影後の挙動なんかがまだ不自然なものが多いです。X-T4もこの辺りはまだまだ完成形ではないと思います。(ずっと撮ってると慣れますけどね)
そんなことを考えていると、OVFとEVFのハイブリットビューファインダーを搭載したX-Pro3はまさにうってつけではないかなんて思い始めるわけです。
実は以前X-Pro2も使ったことがあり、その当時はOVFモードでのパララックス補正の制御が不十分なのか、いまいち合わせた測距点でAFが合わないなど実用性の低さを感じていました。
ちなみにX-Pro3はEVFで撮影するユーザーが大半を占める事実から、X-Pro1、X-Pro2での変倍機構まで備えたOVFの仕様ではなくなったと説明されています。これまではOVFファーストの設計だったのが、EVFファーストという考えに変わったようです。
結果的に、広角側がこれまでように18mmのブライトフレーム表示には対応されず、広角側は23mmまでのカバーとなっています。
X-Proシリーズの光学ファインダー(OVF)は、下記の焦点距離に対応するよう設計しております。
X-Pro1は18mmから60mmまでの範囲に対応。
X-Pro2は18mmから140mmまでの範囲に対応。
X-Pro3は23mmから140mmまでの範囲に対応。※X-Pro1、X-Pro2の光学ファインダー(OVF)は2焦点切り替えです。
これにより、X-Pro3のOVFは退化したかのような扱いをされていますが、実際にX-Pro2、X-Pro3でOVF撮影をこなしてみたらわかると思います。X-Pro3のほうがOVFのファインダーがクリアで、さらに情報表示なども鮮明で見やすいです。
それに加えて、実用的なAF精度が得られるようになったためパララックス(視差)にだけ慣れてしまえば、OVFメインで撮影できるような品質になっていると個人的には感じています。
- Camera: X-Pro3
- Focal length: 35mm
- Aperture: ƒ/1.6
- Shutter speed: 1/12000s
- ISO: 160
背面液晶を隠し、再々画面やメニュー画面をちょこちょこといじらずに、ファインダー撮影に集中させようというこのカメラのスタイル。似て非なるものとしてはLeicaのM10-D、M-Dといった背面液晶レスのカメラもありますが、X-Pro3は隠すだけで開けば普通のデジタルカメラです。
しかしながら、背面液晶を見るたびにフリップして使うのはかなり面倒。実際に購入して撮影に使うとなると、わざわざ背面液晶を開く気分にはまったくなりません。ある意味、不都合な体験によってメーカーの思い描く作法で撮らざるを得なくなる、まさに撮影作法の押し付けの状態です。
でも、どちらかというと自分は新鮮味とおもしろさを感じるタイプでした。
しかもOVFで撮るのが良い。
- Camera: X-Pro3
- Focal length: 35mm
- Aperture: ƒ/2
- Shutter speed: 1/5000s
- ISO: 160
X-Pro3、Pro2にはOVF撮影時に、ERF(エレクトロニックレンジファインダー)と呼ばれる小窓を表示する機能も備えていますが、例えばここにピント位置の拡大表示をしていたとしたらOVF上に捉えている被写体からちょこちょ目線を外さなければなりません。これはなかなか慣れることができませんでした。
一方で、OVFモードで撮影しながら、撮影後の画像を一瞬表示するいわゆるクイックビュー的なものを0.5秒だけ表示してみると、これが意外にハマってしまいまいた。
- Camera: X-Pro3
- Focal length: 35mm
- Aperture: ƒ/2
- Shutter speed: 1/500s
- ISO: 160
- Camera: X-Pro3
- Focal length: 35mm
- Aperture: ƒ/2
- Shutter speed: 1/1000s
- ISO: 160
- Camera: X-Pro3
- Focal length: 35mm
- Aperture: ƒ/2
- Shutter speed: 1/5000s
- ISO: 160
撮影中はOVFでリアルタイムで被写体を視認しながら、撮影した瞬間だけどのように撮れたか、そのフィードバックを0.5秒だけ得られるわけです。OVF撮影なのも意味があります。
- Camera: X-Pro3
- Focal length: 23mm
- Aperture: ƒ/1.4
- Shutter speed: 1/40s
- ISO: 1600
レンジファインダースタイルのX-ProシリーズのOVFにはパララックスがありますので、ファインダー上のフレーミングと実際の撮像範囲は完全には一致しません。さらに、レンズの画角に応じて撮像範囲に相当するものはブライトフレームとう枠で示されているわけですから、画角が広かろうが、狭かろうが、OVFで見ている被写体のサイズは同一です。
レンジファインダー慣れしていないユーザーからるすと、ブライトフレームを使ったフレーミング、パララックスの感覚、露出・仕上がりの追い込みといった複数の要素をすべて脳内で行うという苦行があります。
- Camera: X-Pro3
- Focal length: 23mm
- Aperture: ƒ/3.6
- Shutter speed: 1/320s
- ISO: 400
撮った瞬間に、撮影中の狙いや読みが結果どうだったかが、わずか0.5秒だけ眼前にスライドインして答えを示しては消えていくのです。
もちろん一瞬被写体を見ることができなくなるので、タイミングが最重要なシーンには向きません。しかし、レンジファインダースタイルのカメラでのフレーミングの練習や、や他のカメラではできない個性的な撮影体験として、この手法はありなのではないかと思っています。純粋なレンジファインダー機のLeica Mシリーズにも真似できませんしね。
- Camera: X-Pro3
- Focal length: 23mm
- Aperture: ƒ/2.8
- Shutter speed: 1/250s
- ISO: 400
ざっくりとおおざっぱなフレーミングは、想像で補う余地が残されているとも捉えることができます。視野率100%、撮像範囲をほぼそのままフレーミングすることができる最近の一眼に慣れているからこそ、その余地がおもしろく感じられるのだと思います。
- Camera: X-Pro3
- Focal length: 35mm
- Aperture: ƒ/1.8
- Shutter speed: 1/1250s
- ISO: 160
- Camera: X-Pro3
- Focal length: 35mm
- Aperture: ƒ/1.8
- Shutter speed: 1/1250s
- ISO: 160
- Camera: X-Pro3
- Focal length: 35mm
- Aperture: ƒ/1.4
- Shutter speed: 1/4000s
- ISO: 160
- Camera: X-Pro3
- Focal length: 23mm
- Aperture: ƒ/1.4
- Shutter speed: 1/2400s
- ISO: 160
ちょっと贅沢ですが、OVFを活用しないと見た目や撮影スタイル以外はX-T4と使い分ける意義が薄いですからね。カメラの違いは出てくる写真の違いにまで及ぶかどうかは、撮影者次第だと思います。ただ、カメラが変わることで自ずと被写体との向き合い方や、カメラを向ける気持ちになる瞬間に差が出てくるのではないでしょうか。
なんてんいろいろ考えてると、結局Leicaも使ってみたいとかってなっちゃうんですけどね。こわいこわい。
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