フルサイズ一眼レフカメラD810を中心としたフルサイズシステムを拡充しつつも、昨年2016年の夏についつい手に入れてしまったD500。

画質ではフルサイズとわかっている身としても、小気味良いレスポンスと精悍な顔つきのこのカメラはいつも私の心を乱します。

早いもので半年以上が経過しましたので、あらゆる被写体を撮影してみてのD500の再レビューというか、総評をしてみたいと思います。

×D500に感じるデメリット

・せっかくフルサイズでF2.8ズームレンズ+要所は単焦点のシステムを揃えたのに…

(D500はDXフォーマット/APS-Cゆえに画角が1.5倍。望遠側でのメリットは計り知れないものの、一台で出かけるとなると結局APS-C用レンズをそれなりに揃えないと不自由する)

・つまり同じマウントなのにD810とレンズを使い分ける状態でコストアップ

・しかも測距点のカバーエリア拡大により、周辺部まで問題なくAF精度が得られるレンズがかなり限られる

(私は結構神経質なので、中古レンズの個体差レベルで探しまくりました)

単純な画質比較においてはフルサイズ3635万画素、ローパスレス、高感度性能にもそれなりに優れたD810には敵わない

(レンズもいいのを使えますしね)

○D500に感じるメリット

・前述の通りNikonデジタル一眼レフカメラとしてのデザインが抜きんでてカッコ良い

・シャッターフィーリングの小気味よさ、撮影中の官能性がとても高い

・思い立った瞬間を必ずモノにできる高速レスポンスと、ずば抜けたAF性能

(AF開始から合焦、シャッターが切れるまでの瞬発力が、例えるなら過去に使ったEOS-1D Xとかそういうレベル。しかもAF性能は勝るような感覚。でも軽量で取り回しが良い)

・純正スピードライトのTTL無線リモート発光ができる

(ワイヤレスリモコンとスピードライトSB-5000を組み合わせることで可能となります。現時点ではD500&D5のみ対応)

《無線通信を使用したワイヤレス日中シンクロの例》

センサーの世代なのか、画素数を欲張らなかったことによるメリットなのか、APS-Cセンサーのカメラにしては非常にRAW現像時の粘りというか、余裕があるように思います。

・2088万画素専用センサーの編集耐性の高さ

先週旅行で行ってきたドバイで、ヘリコプターからの航空写真です。

RAW現像前

曇り続きで期待したような綺麗な見晴らしは得られず。無駄に「砂の都」感は出ていますが。

 

RAW現像後(Adobe Lightroom CC)

Lightroomの“かすみの除去”機能を活用しつつ、海の色合いを出すことで奥行き感と「砂の都」感をさらに強調。遠方に霞んで見えるビル郡がドバイの雰囲気をより伝えてくれるかなと思います。

 

RAW現像前

RAW現像後(Adobe Lightroom CC)

世界一の高さを誇るというブルジュハリファを中心とした航空写真です。構造物がむき出しで建築中の高層ビルがたくさんあり、急速に発展した都市であることを物語ります。

やはりなんだか砂っぽいですが、イメージはこんな感じ。お土産で売られているような絵葉書を意識してみました。

かすみの除去機能を使うことで、大気や砂塵の影響によるモヤっと感を消すことができますので、写真の印象をグッと高めてくれます。

※アップロード前に比べてだいぶ画質が劣化してしまっているのが残念です…。

 

 

 

・APS-Cだからこそ、例えば標準画角の単焦点が35mm域になるため、最短撮影距離の短い“寄れる単焦点”として使える。

D500用に用意してきた標準画角単焦点の変遷

・Nikon AF-S DX NIKKOR 35mm F1.8G

最短撮影距離30cm。開放F値はF1.8ながら安価で解像力もそこそこの良レンズ。AFスピードはパワーのない小型SWMのため速くはないものの、さすがは純正。AF精度に悩まされることは皆無。

>>Nikon AF-S DX NIKKOR 35mm F1.8Gで撮影した写真はファーストレビューの記事よりどうぞ

・TAMRON SP 35mm F1.8 Di VC USD (Model F012)

最短撮影距離20cmのとんでもレンズ。開放F値F1.8にしては鏡筒が大柄なれど、比較的軽量。かつ効きの良い手振れ補正VCを搭載。AFは遅めで、確実なAF精度を得るためにはシャッターを切る前に、VCの問題か一呼吸置いてから切ると良い結果が得られる。全体的な使い勝手は随一。

・SIGMA Art 35mm F1.4 DG HSM

現在D500専用として使用中、最短撮影距離30cmはタムロンを経験した今は並程度に感じるものの、後述の35mm判フルサイズ用50mmと比較すればかなり優れる。

D500の周辺の測距点で開放F値からAF精度が得られるレンズを中古品の中から装着してはテスト、テスト、店員さんに「神経質ですみません(苦笑)」しながらようやく出会った相性抜群個体。

AFスピードもストレスのないレベルで、レリーズボタン半押しから全押しにすぐに持って行っても、しっかりと開放絞りのF1.4から精度の良いピントを得られる。と、まぁこのようにDXフォーマット/APS-Cで35mm判換算52.5mmとなる35mm単焦点は全般的に最短撮影距離が短めとなります。

これが35mm判フルサイズ用50mmとなると、だいたい最短撮影距離は45cm。愛用しているSIGMA Art 50mm F1.4 DG HSMでも40cm。10〜15cmの違いはテーブルフォトはじめ色々な部分で差がつくレベルです。

SIGMA Art 35mm F1.4 DG HSMの実写画像

往路の飛行機内にて。高感度な割になかなかの肌の質感です。目元のピントもバッチリ。

 

35mm判換算で52.5mm相当の画角とはいえ、実際には35mmの単焦点ですので大きな背景ボケを得るには開放絞りを多用することになります。

必然的に開放からシャープネスの高いレンズというのが欲しくなるのはDXフォーマット/APS-Cでもなおさらですね。

 

背景ボケの消失感から、高品質なレンズであることが伺えます。SIGMAレンズはシャープネス特化というイメージもありますが、実際にはボケもなかなかラグジュアリー(?)な風合いを感じます。

 

※でもこの35mmレンズ、なぜかD810では全然位相差AF精度が出ない。

これでArt 35mm、50mmがD810でも使えるしいいなーと思っていたのに…。

D810ではもはや使えないレベルなのでD500専用としているためコスパ悪し。D810、D500どちらかのAF精度が狂っているのか…でも問題ないレンズでは同じく問題ないし…悶々とします。

 

 

 

実際のところD500の画質はどうなの?

よく個人の方のブログなどで読むレビューでは、“解像力ではD7200に劣る”、“画素数相応”、“解像力と言う点では期待はずれ”というような酷評を見かけます。

実際のところ私も“解像力のカメラではない”というような印象を持っていました。ですが、PCに取り込んでLightroomなりでRAW現像した写真の見栄え(解像感含む)はなかなかのもの。

私の仮説ですが、FXフォーマットのフルサイズ機D5と同様の仕上がりのチューニングがデフォルトとなっているため、ピクチャーコントロールの輪郭強調のエッジが弱すぎるのではないか?というところが気になりました。

もちろん他社製のRAW現像ソフトで現像する限りでは、カメラ本体でのピクチャーコントロールの設定は“関係ない”です。ただ、撮影後に背面液晶で“撮れ高”チェックをする際の印象には大きく関わってきます。

個人的なオススメですが、D500はピクチャーコントロールの“輪郭強調”を+2してみてください。撮影後のプレビュー時、もしくはJpeg記録・純正ソフトでのRAW現像の際にはおそらく見違えるような精細感を感じて頂けるのではないでしょうか。

デジタルカメラの輪郭強調の設定ですが、旧来輪郭のエッジ成分を強調するだけのものでしたので、例えば“縁取りが目立つ”、“全体的にノイズ感が強調されざらつきを感じる”などのデメリットから、カメラの輪郭強調はできる限り弱めるのが玄人的な感覚であったと思われます。

ただ、それを解消すべくPENTAXなどのメーカーでは輪郭強調にもバリエーションを設け、不自然なシャープネスをかけるわけではなく、低周波・高周波数成分をきちんと選別した上でシャープネスを効かせるような“ファインシャープネス”、“エクストラシャープネス”など、より高精度なシャープネス処理を搭載しておりました。

これに対し、ピクチャーコントロールという仕上がり設定の一元化を行っているNikonはあくまでピクチャーコントロール内の“輪郭強調”でしかシャープネス処理を設定できません。

これがNikonが劣っているということなのか?いやいや、細分化していないということは細かな設定を分けずとも、“最適なシャープネス処理”を行う自信があるからこその簡潔さなのではないか、という結論に至りました。

D500でドバイ周遊してきた際の写真ギャラリー

手持ちのレンズが12mmスタートなので35mm判換算で18mmと今となっては少し画角不足。

D500で端の測距点までAF精度が出るようなレンズが登場すれば是非手に入れたい。

 

D500は鑑賞サイズで見る限りはとても好ましいコントラストと質感描写を見せてくれますね。おそらく等倍で拡大すれば同じような絵作りのD5の方が、同画素数であってもセンサーサイズの違いからくる画素ピッチの余裕により、細部まで解像しているのでしょう。

 

ラクダの質感や、砂のコントラストなど、なかなか味のある描写をします。

 

暗い時間帯のショータイムで高感度域での写真。

手振れ補正付きのSIGMA Contemporary 17-70mm F2.8-4 DC MACRO OS HSMで撮影。

最近のD500標準ズームレンズはこれに落ち着きました。中古で3万円弱。

見た目も良くなりましたし、フルタイムマニュアルフォーカスに対応しておらずAF時はピントリングが回転してしまうのがたまにキズですが、AF速度もなかなか。

手振れ補正自体の効きはあまり強力とはいえませんが、開放絞りがF2.8-4と言うスペックは広角側では1段絞っておくことで、F4通しのレンズとしても使えるということ。つまり35mm判換算で25.5-105mm F4と言うなかなか使いやすそうなレンズに変貌します。

広角域では一段絞っているため解像力的にも安定し、逆に望遠端は開放絞りからとてもシャープなレンズ。しかも最短撮影距離が22cmと非常に寄れるため、望遠端での最大撮影倍率は1:2.8を達成。かなり扱いやすいレンズです。

 

 

D500の長所と言えば、連写や動体AFだけでなく“暗所AF”にも強いことです。

普通だとAFを諦めるようなシチュエーションであっても中央で-4EV、その他全点-3EVまでの測距性能がありますので撮影シーンが拡がります。

 

4WDに乗ってのデザートラリー中に車内で揺られながら後続車を撮った一枚。たまたま写しとめてますが、歩留まり最悪でした。ここでもAF性能と10コマ/秒の高速連写に助けられています。

 

SIGMA Contemporary 17-70mm F2.8-4 DC MACRO OS HSMは値頃なレンズながらかなり使える印象です。

実はD500のキットレンズであるNikon AF-S DX NIKKOR 16-80mm F2.8-4E ED VRも以前中古で単品購入して使ってみましたが、近接域でのフォーカスシフトがネックでした。価格コムなどでも話題にされておりましたが、理解できているのかいないのか…。ちなみにフォーカスシフトとは絞り込みによってピントの芯がずれていく現象のことです。

ブツ撮りなどを行う際。本来絞り込めば絞り込むほど被写界深度が手前にそこそこ、後方に大きく広がっていきますが、フォーカスシフトの起こるレンズだとピントの芯が例えば後方にずれていくため、比較的被写界深度の浅い手前側が最悪被写界深度からはみ出てボケてしまいます。これには耐えられず、使用目的もお手軽なブツ撮りなどであったため手放しました。

 

ドバイでは雨が降らないと言われているのに、青い空を見れたのはほんの一瞬でした。日頃の行いはさほど悪くないと思うんですが、ある意味“もってる”のでしょう。

 

以上、とりとめもない流れでしたが改めてのNikon D500追加レビューでした。

私の今の率直な感想では、ライティングを組むなどよほどのシチュエーションでない限りは、D810よりもD500を持ち出すことになると思います。それほどに、“ちゃんと撮れる”ことが重要。

シャッターチャンスに強い、持ち出しが苦にならないD500システムは写真撮影の楽しみを益々拡げてくれそうです。