今までフルサイズミラーレス一眼市場といえばSONYの独壇場でしたが、ついにカメラメーカー三強の一つであるNikonからもフルサイズミラーレス一眼システムである、Zシリーズが発表されました。
もともと開催の告知がされていたニコンファンミーティング2018にも、フルサイズミラーレス一眼Zについてのコンテンツが多数追加され、一般向けの新製品発表イベントの様相も兼ねるようなイベントとなりました。
現時点では私はニコンユーザーではないのですが、10年前に一眼レフカメラデビューで初めて買ったカメラは「Nikon D80」。
以降もカメラ屋として知識を深めるためにあれやこれや各カメラメーカーの機材に手を出してはきましたが、使用してきたNikonカメラは新しいものから「D500」「D810」「D4S」「D7000」「D300S」「D700」「D300」「D80」、家族用に「D3400」「D5300」「D40」と、レンズも数十本。
ニコンファンかどうかといえば、今は仕事の都合で別の機材ばかり使ってはいるけども、一番愛着を持った機材はNikonです!と胸を張れる愛情は持ってます。
いや、もちろんPENTAXもSONYも、CanonにFUJIFILMも、買った機材は併用し続ける余裕がないから買い換えているだけで、すべて好きなんですけどね。
さて、前置きはこの辺にしてイベントの模様をお伝えしていきます。
東京(ベルサール渋谷ファースト)初日開場前
あまり早起きできなくて開場10分前くらいに列に並びましたが、まぁ見渡せる程度の行列。さすがに「ファンミーティング」と銘打たれているだけあって、純度の高いファンが集まっているような印象は受けます。
例えば昨年限定販売された100周年ストラップを取り付けたフラッグシップモデルのD5を誇らしげにぶら下げた、背広をきたおじいさん。
Nikon Tシャツを着ているツワモノも見受けられます。
入場証
入場前には、入場証にお使いの(または好きな)カメラ・レンズと、ニコンについての好きなメッセージを記入します。
これがシールになっていて、衣服の肩や胸に貼り付けておきます。再入場もこれでパスが可能です。
上の写真は、Nikonスタッフさんのもの。最新機種を書いている人がほとんどいないのが悲しくもカメラメーカー社員の実情だと感じましたが、社員の方も参加者と同じ目線でいるのにはとても好感が持てました。
Nikonシステム展示
パッと見て圧巻に感じますが、当然これがすべてではありません。
コンパクトから双眼鏡などまで、幅広いNikonイメージング製品が並んでいます。トップの左右に別れて一眼レフカメラが展示されていますが、やっぱり私は一眼レフカメラの方がロマンを感じますね、カッコ良い。
タッチ&トライコーナーはさすがに盛況
Zシリーズだけではなく、AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VRなどの新製品も発表後なので、タッチ&トライには長蛇の列ができてしまいます。これは想定内でしたが、あまり気が長くないので並びません。笑
私が並んだのはZ7を使える静物撮影コーナー。
静物撮影コーナー
前でお試しの方のように自前のXQDカードを持ち込めば、撮影データを持ち帰れます。これって大事ですよね
カメラ新製品は発売前までファームを煮詰めているケースも多く、データ持ち帰り不可というケースは多々あります。
ただ、一般的にXQDカード持ち込みのハードルの高さは否めない。笑
7ブースくらいあったと思うのですが、そのうち3ブースほどはFマウントレンズをマウントアダプターFTZで装着したものでした。
私が会場にいた時間帯はZマウントレンズを付けた実機のみに需要が多く、Fマウントの実機は空きがあり列を外れて優先的に触らせてもらえていました。
Fマウントレンズを付けたときのレスポンスもとても気になりましたが、今回は初見ということでZマウントレンズの実機が空くのを待ちます。
NIKKOR Z 35mm f/1.8 Sが装着されたZ7を体験
本当は標準ズームのNIKKOR Z 24-70mm f/4 Sが良かったのですが、まぁ混雑していたので致し方ありません。
私は申し訳ないながら今はもうNikonユーザーではないためXQDカードは持ち込んでおりません。そのため実写画像が公開できないのが悔やまれます…。
で、使用した所感ですが、やはり質実剛健というかミラーレスといえどSONYやFUJIFILMのような華奢さがないのがNikonの素晴らしいところ。質感も良いです。
ファインダーですが、EVFの液晶に至るまでの光学系に非常に凝っているそうで、確かに見え味は従来製品よりも自然に感じました。スペック上は369万ドット(SONY、FUJIFILM上位機と同等)、倍率0.8倍は最高峰ですね。
ただ、撮影ブースの照明のフリッキングを多少拾ってしまっていたので、詳細な評価にはフレームレートやらの設定をいじりたかったところ。(設定あるのかな?)
あとは、レリーズ後再生がONになっていたのも踏まえた上でももたつきがあったような。まだ最終ファームではないのかもしれませんがどうでしょう。
強く感じたのは、やはりFマウント一眼レフカメラとの共通性。ここはメーカーさんも強く意識されたのだと思います。
まずシャッターフィールやグリップ感がNikon一眼レフと一緒!シャッター音も最近の一眼レフと同じような「クシュッ」とした音でした。
AFスピードも気になっておりましたが、個人的には「えっ…像面位相差だよね?Nikon一眼レフカメラのライブビューのコントラストAFよりちょい速いくらいじゃない?」と疑問符。
ただ、Twitterで他の参加者の方のツイートを調べて見た限り、「爆速!」とまでおっしゃている方もいるので、35mmの単焦点がゆっくり正確に合わせる制御なのか、はたまた実機の個体によるのか、という感じ。このあたりは主観も強いのでぜひご自身で体感されてみてください。
手持ちのSONY α9とのサイズ比較
iPhoneで写真撮ることないので、パースがついてどうしたら良いものやら。笑
α9に装着しているのはFE24-105mmF4で、対するZ7は単焦点の35mmですからレンズのサイズ感は参考になりません。
カメラ本体のサイズ感は初回のリーク画像が出たときにはαより大きめという印象ですが、普通に小さいです。そして数値以上に軽い。これはNikonのグリップのホールド性が高いからでしょうね。ナイスグリップ!
上からも比較。PanasonicのLUMIX G9からようやくミラーレスにも肩部情報パネルが搭載され、FUJIFILM X-H1にも採用されてきました。
Nikonのフラットな肩部分のデザインと有機ELパネルは、むしろLeicaのフルサイズミラーレスのSLに似てますかね?あれはフラットすぎるかな。
レンズのフォルムも含め、カメラの全体的なデザインも画像で見るよりも洗練されていて、なかなかカッコ良く思えてきました。
モデル撮影コーナー
一方で動体撮影?的なコンテンツとしてモデル撮影コーナーもやっていました。こちらは規制をしていて、並ぶことができない時間もあったみたいです。
私はもともとその気もなかったでので、遠巻きにブースの模様だけ抑えておきました。座っているほうのモデルさんは前に撮らせてもらった方でした。
ステージは出だしからいい感じの集客
カメラ屋時代に何度かお客様向けのセミナーで講師をお願いした、上田晃司さんに会場で声をかけていただきました。
最近海外を回っていたのはZシリーズのプロモーション用の作例撮影だったんですね。セミナーもぜひ見たかったのですが時間がなかったので我慢。
数人の方でカテゴリーごとに撮影されたZ7の作例。
商品企画部長さんにインタビューをしていたのは、前の職場の方でした。しばし話しましたが、取材一人で速報まで大変そう…頑張れ〜。
ショーケース内の展示
発売は後日のZ6や、NIKKOR Z 50mm f/1.8 Sの姿もあります。見た目の違いはわかりませんが。
レンズ単体で見るとSONYっぽいデザインと思いましたが、カメラに装着すると良いバランスなんですよね。
そして、Zマウントと歴史あるFマウントの橋渡しとなるのがこのマウントアダプターFTZ。Fマウントの47mm径に対して55mm径に大口径化しているため、マウントアダプターはボディ側に行くに連れて太くなります。
これは装着したときのどっしり感を演出してくれますね。
マグネシウムボディ
ペンタ部までフルマグネシウムボディです。小さいながらも剛性感高く、それでも軽量さを保っている所以です。
一眼レフカメラ(D850)と、ミラーレス(Z7)の比較カットモデル
同じフルサイズシステムにもかかわらず、サイズに違いが出るものですねー。やはりミラーボックスとペンタプリズムが一眼レフの核であり、ロマンであり、そしてサイズを肥大させる要因であることがよくわかってしまいます。専用位相差センサーもかなりの体積になりますね。
ミラーレスはその点、凝縮感が高いです。レンズのサイズもずいぶん違いますが、ZマウントのほうはF4、FマウントはF2.8の24−70mmですからね。これでは分が悪い。
さらにZ7を分解
デジタル機器!って感じの内部構造ですね。
光学部材のインゴットや、成形後の姿
あまり目立つものではありませんが、ガラスの成形から、最終的なコーティングまでの段階を表していたようです。
今後登場するレンズのモックアップ展示
ほぼ製品版に近いであろうものが展示されていました。
まずは大々的にプロモーションされていた、NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noctです。F0.95のノクトを冠したレンズ!!マニュアルフォーカスレンズです。超幅広のピントリングに三脚座まである本格レンズ。
値段はかなり高価になりそうですね。こういった極浅被写界深度のレンズも使いものになるのが、ミラーレスのEVFの利点のひとつですね。
お!!すでに24-70mm F2.8のレンズがモックアップになっています。初期に登場するレンズは距離表示窓がなくて、うーん…と思ったのですが、高級ラインナップ?は有機ELパネルみたいなもので情報表示されるみたいですね。Canonの70-300mmや、Carl ZeissのBatisみたいな。
ファンクションキーみたいなものも搭載されています。マウント付近のギザギザは、コントロールリングになるのかな…?
こちらも新しいレンズ。ロードマップにはF2.8の超広角ズームもラインナップされていましたが、先に出るのはこちらのF4通し。サイズ感も良い感じで、前玉が丸くせり出していないのでフィルターも装着でき使い勝手が良さそう。
動画向け展示
Zhiyun(ジウン)のジンバルスタビライザーかな?それにATOMOSのモニターレコーダー(繋がってないけど)ですか。
ミラーレスですしね、撮りやすくはなるだろうけど、ハンドヘルドの撮影はやっぱり動画AFが重要です。どれほどになるのやら。
Zシリーズロゴ入りのグッズ
一瞬真ん中のバッグがPeakdesignに見えましたが違いました。
各会場で行われる「ニコンクイズグランプリ」の商品も展示
トロフィー…マニアックではないですが豪華ですね。
とまぁ以上、あまり深く掘り下げておらず申し訳ないのですが、会場のレポート的に紹介してみました。ぜひご自身でお近くの会場へ足を運んでいただけたらと思います。
Nikon Zシリーズについて思うこと
NikonはSONYとはまったく違い、「ミラーレス一眼が良い」とも「一眼レフが良い」とも言いません。これはNikonの既存ユーザーとこれまでの製品戦略を考えたうえで、とても正しいことだと思いました。
ただ、明確にしているのはショートフランジで、口径の大きくなったZマウントには光学設計上のメリットが大きいこと。
つまり、現状は少ないレンズラインナップですが、より描写性能に優れ、今までのFマウントで実現できなかったような個性を秘めたレンズがZマウントならば手に入れられるわけです。今はまだ動かなくても、そのうち画質にこだわるNikonユーザーは見て見ぬふりはできなくなるでしょう。
カメラ本体に関しては、良くも悪くも「一眼レフカメラ」と遜色ない撮り心地を、よりコンパクトで軽量なボディで提供しているといった感じ。すごーく悪い言い方としてしまうと「一眼レフもどき」なスタイルかもしれません。
ただ、そこまでFマウント資産をお持ちのユーザーへの心理的な配慮と、「選ぶのはお客様」「どちらも向き不向きがある」という両輪の戦略は、きっと苦労が伴うでしょう。
そんな意味でも、Nikonのファン思いな姿勢には感嘆します。
SONY α7R III、α7 IIIを意識しているようで、実は自社一眼レフカメラを意識して思った以上にシンプルにまとまっているZシリーズ(Z7、Z6)ですが、現状のパッケージされた性能と機能で2〜3割のユーザーの気持ちを動かし、そのうち大型アップデートでSONYのような“ミラーレス一眼”ならではの機能。
つまり「瞳AF」「電子シャッターで超高速連写」などを仮に追加できる余地を残していたとしたら…それこそ驚異的だな。それが個人的な意見です。
Nikon = 浪漫 頑張れNikon!!
見てください、このロマンの塊。私は懐事情と仕事の都合で今はNikonを買い戻せないですが、陰ながら応援を続けます。
ニコンファンミーティング2018の詳細はこちら
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