最近はスマホアプリの機能向上も相まってSNS上で見かけるような写真もフィルム調の仕上げのものをよく見かけますね。
カメラ派の我々としましては、あまり「スマホでなんでもいける」的な風潮は好ましくないわけで。
今回はスマホのアプリ並みとはいかないまでも、メジャーなRAW現像ソフトでささっとフィルム風現像が行える方法を2通りご紹介してみたいと思います。
手軽さ重視で流れをご紹介しますので、細かい点はご質問いただければお答えしますね。
■元画像
今回サンプル画像として用いるのは、近所で撮れた猫さんたち。なんだかwith Bことお笑い芸人ブリリアントの二人に見えるのは私だけでしょうか。
最近手に入れたEF135mm F2L USMの「開放描写気持ちいいー」のテンションで撮ったので、黒猫が被写界深度外になっておりますがご容赦を…。
無料プラグインソフトGoogle Nik Collection「Color Efex Pro」
■「他のツールで編集」→「Color Efex Pro 4で編集」でデータをプラグインに橋渡し
Lightroomの「プラグインソフト」として使用するものは、外部ツールにコピーした編集用データを橋渡しを、プラグインとして編集後の結果をLightroomのカタログに追加して保存されるような仕様となります。
まずは対象の画像データを選んで、マウスの右クリックで開いたウィンドウから「他のツールで編集」→「Color Efex Pro 4で編集」と進んで行きます。
■Lightroom 調整でコピーを編集を選ぶ
すると、上記のダイアログがひらきますので「Lightroom 調整でコピーを編集」を選びます。他の選択肢はグレーアウトしておりますので迷いようはないですが、つまり元画像に対して「Lightroom上で施した編集を保持した状態のコピーデータをプラグインで編集します」ということですね。
■新たなウィンドウで「Color Efex Pro」が立ち上がるので編集を行う
すると新規ウィンドウで「Color Efex Pro」が立ち上がります。今回はわかりやすいので「クロスプロセス」効果の中の、ブルー系の色相シフトを選んでみます。
「保存」を押せばこの編集結果を反映したものがLightroomのカタログデータの一覧に追加されます。
こちらのプラグインの良いところは、ワンクリックで効果を適用するだけでなくスライダーで適用量を直感的に変更ができるところと、さらには部分的に編集が加えられる高度な自動マスク機能「コントロールポイント」が使用できる点です。
高度な自動マスク機能「コントロールポイント」と聞いてNikonユーザーの方はピンとくるかもしれませんが、この“U-Point テクノロジー”と呼ばれる技術は今ではGoogleに買収されてしまったNikソフトウェアが開発し、過去にはNikon純正のRAW現像ソフト「Capture NX」「Capture NX2」にも用いられていた技術です。
今ではNikonユーザーに限らず、しかも無料でその優れた機能が使える時代になっているわけですが、Googleの扱いのせいであまり話題にならず…。勿体無いのでしっかり使ってあげましょう!
■Color Efex Pro クロスプロセスB02を適用した画像
無料のプラグインでこんな感じです。わかりやすく、でもしっかりと明暗部の色相がシフトして流行の画作りになりました。
もちろんこれは効果の一例で、実際には実用的なものからちょっとイメージのつかないものまで色々な効果があります。
しかもNik Collectionにはこの「Color Efex Pro」だけでなく、他にも様々な機能特化プラグインが存在します。
・Analog Efex Pro
様々なクラシックカメラ風の効果を楽しめるプラグイン。解像度とは無縁のトイカメラっぽい仕上げのものが多いです。
・Color Efex Pro
今回ご紹介したプラグインで、多機能です。
・Silver Efex Pro
手軽に素晴らしモノクロ画像が作成できるプラグインです。グレインエフェクト(粒状感)などもコントロールできるため、銀塩風の高度なモノクロ編集が可能です。
・Viveza
これぞまさにNikon「Capture NX」で使用されていた「カラーコントロールポイント」での部分編集特化のプラグイン。私のようにPhotoshopでマスクを作ったりといった工程が苦手な方には手軽で直感的に使用できておすすめです。
・HDR Efex Pro
私はHDRは未知の世界ですが、HDR専用のプラグインも用意されています。
・Sharpener Pro
こちらも部分補正が直感的に可能な「シャープネス処理」専門のプラグイン。
・Dfine
画像ごとに適切なプロファイルが自動生成され、シャープネスを損なわずにノイズ除去が可能なプラグイン。最近はRAW現像ソフト単体のノイズ除去性能も向上しておりますが、丁寧に仕上げたい場合にはぜひお試しください。
なんと、これらが“全て無料”で使用できます。 もう一度言いますね、全て無料です。
Lightroom有料プリセットVSCO Film
VSCOというのスマホのカメラアプリで使用されている方もいらっしゃるかもしれませんが、こちらはLightroom用の有料プリセットとなります。
時期によってキャンペーンが実施されたりもしますが、1パッケージに複数のプリセットと、効果を単体で適用するための「ツール」が入っています。「ツール」は全パッケージ共通ですので、追加購入する場合にはプリセットのみ追加されるイメージです。
私は「02」「04」「06」を勢いで購入しました。1パッケージ$59なので、現時点で2万円相当くらいでしょうか。これを高いと見るか安いと見るか…。
とはいっても外部ツールとの連携なしにLightroom内で全ての工程が済むのはとても快適で、何物にも変えがたいです。それに適用される効果も「画像によっては全然使えない」といった類の奇抜なものではなく、きちんとLightroom上の画像プロファイルまで更新してくれるためとても質が良い編集結果が得られます。
購入は提供元のWEBページでクレジットカードで購入となります。英語表記ではありますが、物販ではなくダウンロード販売なのでそこまでハードルは高くないです。
ダウンロードしたプリセットを以下の手順でLightroomのプリセット格納フォルダへ自分で入れることで使用可能になります。
※下記の説明はMac環境のものとなります。
■Finderの「移動」を開き、キーボードの「optionキー」を押すと出てくる「ライブラリ」を開く
OS X以降、アプリケーションファイルの保存された「ライブラリ」はデフォルトではFinderに表示されておりません。上記の操作で移動しましょう。
■「Application Support」フォルダを開く
■「Application Support」フォルダ内の「Lightroom」→「Develop Presets」が見つかります
このフォルダの中に上記の画像のようにダウンロードした「VSCO Film」プリセットファイルを投下してください。
■Lightroomを再起動すれば現像レシピの中に表示されるようになります
ずらっと並んでますね。実は同じ効果であっても各メーカーごとに基準となるデータが当然異なりますので、それぞれのプリセットデータが用意されています。その中から、自分の使用しているメーカーのもののみをプリセットフォルダに移してください。(全メーカー入れると整理が大変です)
※買い替えや買い増しでカメラメーカーが追加・変更になった際には、VSCO Filmの販売ページにログインし購入履歴から再ダウンロードも可能です。
■編集バリエーションを比較するために「仮想コピー」を作りましょう
(その前にLightroomの基本概念について)
Lightroomのデータ管理を理解している方には蛇足ですが、Lightroomでは「元画像データ」と編集結果などをまとめた「カタログデータ」を別々に管理しております。
Lightroomの売りの一つに「非破壊編集」というものがありますが、どういうことかというと「元画像データ」には一切手を加えることなく、編集したデータはLightroom上のみで閲覧可能な「Lightroom編集データ」を合わせて表示する仕組みです。
こういった仕様となっているため、Lightroom上ではなんと「Jpegファイル」であっても非破壊編集、つまり劣化させずに編集を繰り返すことができます。
注意点としてはあくまでLightroom上での管理下において編集結果が見られるという点と、編集した内容を他で用いるためには必ず「書き出し」の処理が必要な点です。
また、デフォルトの設定では「カタログデータ」を新しく作り直す、あるいは別のものに切り替えると編集結果も残りません。これを避けるには環境設定から「XMPファイル」で編集内容を保持するように設定をしておけば、「Lightroom編集データ」が「元画像データ」と同じフォルダ内に画像ごとに対応した「XMPfファイル」として格納されるようになります。
これをしておけば、カタログを整理、統合した際にも編集結果を残して行くことが可能です。
私も最初はいまいち理解できておりませんでしたので、念のためソフトウェアのデータ管理について解説させていただきました。
そんなLightroomのデータ管理のメリットとして、一つの「元画像データ」に対して、複数の「編集結果」を保持することができます。つまり「編集データ」のみを複数用意して、それを一つの「元画像データ」と組み合わせて表示しているということですね。
では、現像結果を複数用意してバリエーション比較をしやすくするために「仮想コピー」を作成してから現像を行いましょう。
「仮想コピー」は今まで説明したところの「編集データ」のみを複製したというアクションと考えてokです。
選んだ画像の「仮想データ」を2つ作成してみました。サムネイル上に「コピー1」「コピー2」が並んでいるのがわかると思います。
こちらのデータを選んで「現像パネル」から先ほど紹介したVSCO Filmのプリセットを適用して行きます。
■Kodak Gold 100 Portrait
気になったプリセットを選んでクリックしただけの状態。この完成度。
現像パネルの「カメラキャリブレーション」を見てみると、フィルムのイメージをシミュレーションするためのプロファイルにきちんと置き換えられているのがわかります。ここの補正値などがカメラメーカーごとに調整されているということですね。
これを自分で追い込んで行くのは至難の技ですので、VSCO Filmのプリセットが売れている理由になると思います。
■Kodak Gold 100 Warm
今度は暖色系のプリセットを適用してみます。繰り返しますがワンクリックでこの完成度です。
■Fuji Neopan 1600
最後にモノクロのプリセットを。粒状感なども加えられておりますので、ただ白黒化したものとは雲泥の差があります。もちろんこれもプリセットをただ選んだのみの結果です。
今回試した結果の仕上がりの一覧を以下にギャラリー形式で並べてみます。
(クリックでスライドビューアーで閲覧できます)
VSCO Filmプリセット、その他の使用例
■Provia 400X+1 Over
■Fuji Astia 100F +
■Kodak E100 VS –
■Kodak E100G Portrait
■Fuji velvia 50+
■C-Kodak Portra 160 VC ++
■TRI-X+1 ++
FUJIFILMのXシリーズの「フィルムシミュレーション」の評判が非常によく、フィルムをイメージした画作りに憧れている方も多いと思います。カメラごと買い換えるには二の足を踏んでしまう気持ちもあるかと思いますので、こういったRAW現像でフィルム風の仕上がりにしてあげるのも良いのではないでしょうか。
一から自分で仕上げるにはかなりハードルが高いですが、プラグイン、現像プリセットが一度使える状態に準備してしまえば編集作業自体は一瞬ですのでぜひ試してみてください。
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