海外旅行に行く時の悩みどころは、撮影機材
日本の国内旅行であれば治安、防犯には特別警戒する必要もありませんが、全く勝手のわからない海外ではそうはいきません。その国々の治安状況に合わせて携行する荷物にも配慮が必要なのは確か。
ですが、防犯の観点から機材を最低限に絞るのはともかくとして、「持って行かない」というのは本末転倒な気がします。
なぜかというと我々が趣味の撮影機材に投資をするのは間違いなく“その瞬間をできる限り綺麗に、確実に切り取る”という目的があったはずだからです。
非日常である海外旅行であってもそれは同様で、またとない機会を有意義に、美しく残すためにも妥協なく厳選した機材で臨んで頂きたい。
まずはカメラ
一番お気に入りのものを持っていきましょう。もちろんフルサイズデジタル一眼レフカメラでも良し、ミラーレス一眼でも良し。私はさっとAF任せで撮りたい派ですが、猛者たちはLeicaのレンジファインダーもありでしょう。
「高額な機材を持って行くのが心配」で持って行かないではなく、「高額な機材を持っているからこその警戒心」を忘れなければ大丈夫です。
・フルサイズデジタル一眼レフカメラも良し
一般市民の我々が海外に行ける機会は限られますので、せっかくの情景を「とにかく綺麗に残したい」と考えるならば重量は気にせずにフルサイズ機を選ぶのも当然ありです。
重さが…、嵩張る…と言ったお悩みについては“レンズの本数を絞る”ことで活路が見出せます。
・軽くて携帯性に優れたミラーレス一眼も良し
カメラ、レンズを合わせてシステムとして小型・軽量なものが多いミラーレス一眼も当然マストな選択です。以前FUJIFILMのXシリーズに手を出した理由は、このクラシカルなデザインながら快適に撮影が可能なイカしたカメラを是非海外旅行に持っていきたいという野望からでした。
(その後金欠で手放してしまったのが惜しいところで、未だにX-T2が欲しいです)
最近は外国人旅行客の多くの方々もミラーレス機(特にSONY α7シリーズ)を持っているのが目につきます。時代の流れは変わっていきますね。
レンズはどうする?
旅先での写真の撮れ高を考えると、拘るべきは「どんなレンズを持って行くか」です。
私がここ数年で何回か海外に行って撮影をしてきた感想からすると、圧倒的におすすめしたいものは一種類です。
圧倒的におすすめしたいのが超広角ズームレンズ
(35mm判換算で16-35mm前後をカバーしたものがおすすめ)
※機材イメージ写真はNikon D500 + AF-S DX 12-24mm
私は個人的には超広角レンズの扱いが苦手なほうで、特有のパースペクティブなど面白い部分は多いものの、単純に画角の広さから“色々な要素が入りすぎる”と感じていました。もちろん被写体に踏み込むことや工夫でカバーすべきなのですが、思うに「日本の都会風景は雑多」であることが苦手意識の根幹にあるのだと思います。日本は看板ひとつ取っても漢字、カタカナ、アルファベットが入り乱れ、被写体の構成要素が散らばりすぎているんですね。もちろん海外の観光客の方にすればそういう部分が魅力的にも映るんでしょうが…。
ですが、海外に行くと事情は様変わりします。ご周知の通り日本と諸外国の国土面積には圧倒的な違いがあり、施設、建築物、風景どれを取っても「スケールが大きい」のです。
標準ズームの広角端である24mmや28mm相当の画角では収めきれないような情景をたくさん目にすることになるはずです。
印象的な写真をピックアップしたら、全てが綺麗に超広角ズームレンズの焦点域でこなせているのに気づきました。そう、海外では超広角ズームレンズこそ万能なのです。
上記の写真を撮影したイタリア旅行中に使っていたレンズはこちら
Nikon AF-S NIKKOR 18-35mm F3.5-4.5G ED
Nikonのフルサイズ対応超広角ズームレンズながらできるだけ軽量なものを選んだ結果こちらのレンズをメインで持って行くことにしました。実際のイタリア旅行中はほぼ付けっ放しの状態でした。
超広角ズームレンズに苦手意識がある私ですら、海外ではこれはいわゆる“標準レンズ”となっていたわけです。
レンズ自体は広角端は18mmスタートと他のフルサイズ対応の超広角ズームレンズと比べて少し見劣りして見えますよね。開放絞りもF3.5-4.5と大口径レンズの類ではございません。手ぶれ補正もありません。ですが、レンズの性能評価の最優先事項である「描写力」については比較的安価なレンズながら抜きん出ておりますのでご安心を。
開放絞りについても可変タイプではありますが、例えばマニュアル露出で撮影する際などには広角端であっても開放のF3.5から少し絞ってF4.5で使用してみてください。こうすることで擬似的に「F4.5通しのズームレンズ」としての運用が可能です。結婚式などでスピードライトを併用してマニュアル露出で撮るときなどには特に有効なテクニックです。
話は戻りますが、もっともおすすめのポイントはNikonフルサイズ対応の超広角ズームレンズでありながら重量わずか385g(‼︎)ととんでもなく軽量であるとこです。
今はCanonユーザーに転身しているため、おすすめは以下のレンズ
Canon EF16-35mm F4L IS USM
16mmスタート、F4通しながら手ぶれ補正も搭載した人気のレンズですね。発売してまだ年月も浅く、最新の光学設計であるため描写が非常に高いです。中心部から周辺部に至る画質の均質性や、ズーム域ごとのバラつきもなくAFの合焦も高速・かつ静粛。非の打ち所がないレンズです。防塵防滴性能も有志ながらF4通しであるため重量も615gと比較的抑えられているのも良いところ。あ、そういえばCanonのこの辺のインナーズーム式のレンズは「プロテクトフィルター」を装着しないと防塵防滴性能を発揮しきれないんですね。フィルターを付けない派の私としては少し残念ですが、実際はこういう性質のズームレンズは多いんでしょうね。
Nikonにも同等のレンズがあります
Nikon AF-S NIKKOR 16-35mm F4G ED VR
Nikonにも前述のCanonのレンズと同等品はあるんですけどね。実は私が初めて発売時に予約購入をしたレンズでした。印象としてはAFのスピードが速くなく、私は気になってしまいました。描写はナノクリスタルコートの高性能レンズらしいヌケの良い風合い、硬くなりすぎないイメージのレンズです。発売当時はまだまだF2.8通しのAF-S NIKKOR 14-24mm F2.8G EDが人気絶頂でしたので、影に隠れてしまった感もありますね。風景撮影など「フィルターワーク」を活かしたい方にとってはベターな選択です。
機材と一緒に持っておきたい、心構え
先ほどまでお伝えした通り、機材については最良の結果を得るために妥協をしないことをおすすめしてきました。ですが、妥協なき機材で安心して撮影をして回るためには以下の心構えが必要です。
・警戒心を怠らない
何も常にキョロキョロと不安そうにするわけではありません。良いカメラをぶら下げていれば、自然と現地のスリなどからは「お金を持っている」ように見られるわけです。そもそも日本人は豊かであるというイメージもあるでしょう。「そういった見られ方をしている」ということを認識することで、行動や注意力が変わります。そういった目は同行者に対しても向けられうるため、配慮が必要でしょう。
・夜道や、治安の悪い地域に立ち入る際には一旦カメラはバッグにしまっておく
これは現地に数泊して、ある程度の土地勘と雰囲気が掴めるまでの間だけでも心掛けてみましょう。
・荷物の持ち方に注意
いわゆる「カメラバッグ」のような名の通ったブランド、見た目のものを避けた方が良いのはひとつありますが、バッグやカメラのぶら下げ方には注意しましょう。片方の肩にぶら下げているようなラフな感じだと、ひったくりに合うリスクは上がるでしょう。海外ではひったくりに絶対に合うというわけではなく、警戒心が薄く見えることによって「狙われやすくなる」ということです。リュックのようなバックパックタイプのものも注意が必要ですね。
私は身長176cmで体重は52〜3kgと特にフィジカルに不安があるため外国人に襲われればひとたまりもありません。笑
あまりガチガチに考えてしまってはシャッターチャンスを逃す要因にもなりますし、カメラを構える前に周りを一瞥するなどちょっとした警戒心が荷物や身の危険から守ってくれるでしょう。
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