世の中が〝フルサイズミラーレス一眼〟時代、それこそ戦国時代に突入していく中で、〝一眼レフカメラ〟それもAPS-Cデジタル一眼レフカメラであるPENTAX KPを買い足してしまいました。期待している役割は「スナップ撮影」用のカメラ。K-1シリーズでスナップ撮影も悪くないですが、もう少し軽快な気持ちで撮影できるようにとKPを加えました。

軽快に使えるカメラといえば、手元にはフルサイズミラーレス一眼の中でも高性能な部類に数えられるSONY α9もあります。α9を使えば大概の撮影は難なくこなせるわけですが、やはりEVF越しに撮影するスタイルは良くも悪くも便利過ぎ、情緒が足りないなんて贅沢な感覚を覚えます。

ミラーレス一眼のEVFの大きな利点は、撮影結果となる画を常にプレビューしながら撮影できることにあり、とにかく失敗確率が低くて済みます。ただ、実はSONYのEVFは露出補正で±3EVまでしかプレビューが追従せず、それ以上の大幅な補正を加えた場合には撮影結果と差異が発生します。

肩部にあるメカニカルな露出補正ダイヤルは±3EVしか用意されておらず、操作カスタマイズで前後の電子ダイヤルに露出補正を割り当てて初めて露出補正±5まで適用できるような仕様になっているのも、回転角の確保に加えて、プレビューの追従の問題もあるのではないでしょうか。

どうせ便利なものなら、より完璧であって欲しいというのはワガママかもしれませんが、その点一眼レフカメラの光学ファインダーは潔いですね。目の前の光景を忠実に見据えることで、光の濃淡や、色彩などを正しく視認できます。

・電子ビューファインダー(EVF):撮影結果が常に見える(ただしそのメーカーの画作りが施されているため、本来の色合いやコントラストではない)

・光学ファインダー(OVF):正しい色合い、光の濃淡が見える(撮影するときの色合い、露出は別途設定する必要があるため、初心者には難易度が高い)

簡潔に並べると、それぞれの強みも弱みも上記のようになるのではないかと思います。撮影シーンや、撮影者との相性にもよりますが、失敗できない撮影にはミラーレス一眼のEVFは圧倒的に有利ですし、撮影するときの楽しさ、写真の技術向上には光学ファインダーがおすすめです。

自分でそれぞれのカメラを使い分けた限りでは、風景撮影などで遠景を眺めるにはEVFではまだ解像力不足に感じます。(とはいえ拡大してフォーカスを追い込むことができる便利さも備えています)

また、ライティングをして撮影する場合にはEVFの露出プレビューはOFFにする必要があるため、クリアで見やすい光学ファインダーの方が使いやすいです。(EVFではフレームレートによってはモデリングランプのフリッカーなんかも気になりますね)

デジカメWatch:街角写真家・佐々木啓太が一眼レフを使う理由と3つの楽しみ方

※上記リンク先の記事にも多大なる影響を受けてます。笑

さて、前置きが長くなりましたが、実写画像を紹介していきます。レンズごとにまとめておりますので、ご参考にどうぞ。

■HD PENTAX-DA 21mmF3.2AL Limited


KPの小型ボディには同じく小型レンズを組み合わせたいところ。1本目のレンズはHD DA21mm Limited。F3.2とあまり明るいレンズではありませんが、とにかく薄型・軽量であることが特長。ここまでコンパクトであれば、多少の開放F値の暗さは目を瞑れます。

35ミリ判換算32mmとスナップ撮影のためのレンズのようですから、あまり被写界深度が浅い必要もそもそもなさそうです。撮影地は原宿の路地など。

右上にゴーストが出ています。ただ、かなり強い光が差し込んでましたので、これはレンズの粗というよりは環境のせいでしょう。面白い鉄骨と、その影が気になったので撮ってみました。

コーヒーショップの案内がスタイリッシュでした。左側の通りに歩行者が収まるのを待って一枚。

原宿にライオンが。ビビットかつコントラスト高めに撮影。スナップ撮影では、色々な仕上がり設定を用いることでバリエーションを作るのが良いのでしょうか。

ありがちですが、ショーケースと写り込みを利用して撮影。DA Limitedレンズは小型に収めるために、すべてにおいて高性能を目指さず、“立体描写”を意識していると聞きます。なるほど、そう言われてみるとマネキンの陰影で立体感が出ているように感じます。

■HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WR


Limitedレンズの中で唯一のズームレンズです。2018年時点では、Limitedで唯一のレンズ内モーター駆動であり、WR(防滴)仕様のレンズでもあります。今どきたった“2倍”のズーム倍率のなかなか男らしい仕様。

初めて存在を知ったときには、「えーー…」と思いましたが、単焦点のLimitedレンズ3本分(21mm、35mm、40mm)が詰まっているというように考えると「なるほど、アリかも?」となります。

巷では30mm単焦点として運用しながら、前後10mmの寄り引きができる、というような使い方も推奨されているようです。何にせよ、普通に使用すると半端なズーム倍率ですから、焦点距離と遠近感を意識して撮影するのが吉です。

Limitedレンズとして唯一のレンズ内モーター駆動。DCモーターではありますが、駆動はとても静かでスムーズです。Limitedレンズとしては大ぶりなレンズですが、けたたましい音の出るレンズばかりのLimitedレンズの中では実はスナップ向きかもしれません。

写りについてはどうかというと、Limitedレンズの中では圧倒的に安定しています。開放F値こそ広角20mmでF2.8、望遠端40mmではF4と明るくないのですが、絞らなくても全域で解像力は高めです。他のLimitedは開放付近ではわりと色にじみも発生しますからね。

HD DA20-40mm Limitedはなかなか立体的で瑞々しい描写をするので、PENTAXのAPS-Cユーザーの方は避けずに試してみたほうが良いです。

パックンフラワーのようなつぼみ。被写界深度はそんなに浅くないため、質感の残ったボケ方をします。

少し絞り込むだけでなかなか質感を感じられる描写をしてくれます。ここからは横浜の写真です。

望遠端でもそんなに大きくはボケないのですが、これはこれでアリ?と思えてきます。開放F値が明るいとついついボカし過ぎてしまうのですが、背景の取り入れ方にまで工夫をするようになります。

ホワイトバランスの変更してトワイライトタイムっぽい色合いにしてみます。カスタムイメージ「雅(MIYABI)」を用いると、マゼンタが強調されてより印象的になります。

逆光で建物をシルエットに。

石畳が光を反射して浮かび上がっています。

広角端が20mm(35ミリ判換算30.5mm)では足りないかな?と思いましたが、フットワークを活かせばどうにかなるようです。観覧車の鉄骨もシャープに描写しています。

しかしなかなか品のある描写をしていますね…。

ランドマークタワーの上から三脚を使用してガラス越しに撮影。ガラス越しにもかかわらずネオンライトの色などが美しく描かれています。APS-CのカメラとしてはKPの画質はかなり優れているのではないでしょうか。

こちらは手持ちで感度をISO5000まで上げて撮影しています。もちろんノイズは発生しますが、ディティールが溶けてしまうことがありません。最高感度の高さではなく、こいういった実用上の高感度での性能が重要ですね。

HDRで撮影。PENTAXのHDR撮影機能は、SONYなどと異なり、RAW記録に設定していても撮影が可能です。しかもRAWで撮影しておけばHDRの種類だけでなく、HDR OFFにもカメラ内現像ができる優れもの。

■HD PENTAX-DA 35mmF2.8 Macro Limited


HD DA35mm Limitedはマクロレンズ。ですが、このレンズは“標準単焦点レンズ”、“マクロレンズ”2つの役割をこなすレンズとして使うのが正解らしいです。

35ミリ判換算で53.5mmですので、マクロレンズとしてはワーキングディスタンスが稼げませんが、広めの画角を活かして背景を広めに取り込むことができます。他の望遠マクロと使い分けることで、花の撮影が色々と楽しめるかもしれません。

PENTAXのカメラは、樹木の苔も鮮やかに写しますね。

ぐぐっと寄ると、マクロレンズらしい撮影ができますが、自分やカメラの影の写り込みに注意を払いましょう。

■HD PENTAX-DA 40mmF2.8 Limited


これは原宿のスナップ撮影時の写真。HD DA40mm LimitedはLimitedレンズの中でも一番薄型のレンズ。見た目の小ぶりさは感動的なものがありますが、あまり使いこなせませんでした。どちらかというとFA43mmを使ってしまう確率が高いです。

このレンズはビジュアルがとにかく良いですね。それだけで買いです。PENTAXユーザーにしか味わえないですから。

■smc PENTAX-DA 50mmF1.8


Limitedではありませんが、非常に安価なAPS-C用単焦点レンズも試してみました。単焦点だけあって描写は全く問題なし。むしろ優秀です。ただ、内部の構造が粗いのか、AFの駆動音がギュンギュンととにかくすごいですね。

■HD PENTAX-DA 70mmF2.4 Limited


HD DA70mm Limitedはなかなか使い所が難しいレンズ。超薄型で、FA77mm Limitedと比べてもとてもコンパクトなのが特長。

決して甘いわけではなく、心地の良い柔らかさというか“丸み”を感じられる描写が気に入りました。

葉の部分の溶け込むようなボケ。少し癖があるのもまたLimitedの個性でしょうか。

■HD PENTAX-DA 15mmF4ED AL Limited


Limitedレンズとしては最広角にあたる、HD DA15mm Limited。F4の単焦点とこれまた開放F値は暗めですが、ディストーションを抑えて直線を直線として写せるのが特長らしいです。ぜひ吊橋とか、そういった人工物を撮影したいところですが、なかなかタイミングが合わず撮れていません。そのうち追加掲載したいと思ってます。

広角レンズとしては、絞っても描写の緩さが少し残ってしまうのが気がかり。

しかし、これまたビジュアルが良いのですよ。多少のことは目を瞑りましょう。笑

■smc PENTAX-FA 43mmF1.9 Limited


FA43mm LimitedはAPS-CのKPに装着すると66mm相当の半端な中望遠レンズとなります。けっこー使いやすいですよ?私はPENTAXデビューがフルサイズからだったので、FA43mmの印象は「寄れない(泣)」でした。もちろんそれだけではないですが。APS-Cフォーマットのカメラにフルサイズ用レンズを装着した場合には、見た目の画角が狭くなるので、同じ最短撮影距離でもクローズアップしやすくて便利ですね。

これまた、ビジュアルが…

■smc PENTAX-FA 77mmF1.8 Limited


APS-CにFA77mm Limitedというのも中々好きな組み合わせです。いい感じの圧縮効果が得られます。

このレンズはとにかく描写性能が高いですね。FA Limitedの3本の中では一番クセがなく使いやすい。逆にFA31mm Limitedはなんだか個人的にはKPに付けて撮影してもしっくり来ません。

FA Limitedはボケが特徴的というか、主要被写体に対して背面にレイヤーがあるような独特の存在感あるボケ方をします。量感が残るというかなんというか。こればかりは撮って初めてわかる魅力なので、ぜひお試しください。

まとめ:PENTAX KPはレンズ交換が楽しくなるカメラ


KPのコンパクトなボディと、Limitedレンズ群のこれまたコンパクトなラインナップは相性抜群。

フルサイズ一眼と高性能レンズを鞄に詰めて疲弊した方にこそ、KPはおすすめです。

良い意味での気楽さと、複数のレンズを一緒に持ち歩いて使い分ける楽しさを感じさせてくれるカメラですよ。